第287号  28年7月号  大川 澄雄

 何時も「こまちの里」をご利用頂きまして誠に有難うございます。
早いもので今年も半分が終わってしまいましたが、皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしの事と存じます。この酷暑の季節どうか、風邪などお召しになりませんよう、お気を付け下さいませ。
いろいろな獣が棲む、みどりしたたる東北の山・・・・。
 さて、東北の山々も緑したたる、誠に爽やかな季節を迎えました。世界遺産であります「白神山地」、まさにブナの原生林でありますが、その緑豊かな山地はそうそう他に現存しないのかも知れません。とても広大な、うっそうとした原生林であります。また雨の多さにもびっくりですが、真みどり色の樹木が雨に濡れて、しっとりと静もる様は、誠に味わい深いものがあります。

 山菜に沸き立つ東北の山々・・・・。
 また、山深い中はまさに山菜の出ずる季節でもありまして、秋田県は特に白神山地、奥羽山脈を控えておりまして、様々な山菜が出回ります。しどけ、ほんな、みず、わらび、ぜんまいさしほ、こごみ、タラの芽、こしあぶら等など、数えればきりがありません。そんな中で奥山に生えます「根まがり筍」、これはもうもう珍味でありまして、焼いて良し、味噌汁に良し、鍋に良し、また保存食としても最高であります。この美味しさですから当然山の獣も大好物であります。それが故に大変な事がございました。

 根まがり筍をとても大好物な熊たち・・・・。
 秋田・青森両県にまたがる八幡平はその産地、その山中で、気の毒な悲しい事件が起きたのです。今まさにそのシーズン、その「根まがり筍」を求めて、両県から沢山の人が山に入ります。勿論、熊も大好きですから、当然筍が生える同じ場所になってしまうのです。熊とは賢い生きもの、人の気配を早くから察知して、めったに襲うことはありませんが、子熊連れの熊は子供を守るために、出くわしたりしたら襲ってきます。当然と言えば当然ですが、子熊を見たら親熊が傍にいると考えるべきです。

 そして、大変な事件が・・・。まさに悲しい出来事が・・・・。
 話を聞きますと、今年は筍は不作だったようです。ですから人は求めて山深く入りますし、熊は山奥から降りてくると言うことで接点が多くなるのは当然でしょう。  そんな中、悲しい出来事が起きたのです。立て続けに4名の人が熊の犠牲になってしまいました。山に入る人はお年寄りの方が多く、山はおそらく熟知されていたと思いますが、熊は一度経験するとすぐ慣れてしまう動物のようで、同じ熊とはわかりませんが、一頭射殺されまして調べたら内臓の中に人体の一部が見つかったとのことでした。メス熊と言うことでおそらく子連れだったのではないかと推察致します。まさに悲しい出来事でしたが、今年ほど熊が里山に出て来る事は初めてです。何か自然が警鐘をならしているのではと、不思議とそんな思いが致しました。

今月の一句
足うらに  根を切る音や  青田かな