平年より長い梅雨空も終わり、
日々真夏日を迎えております。皆様方におかれましては益々ご健勝の事と存じます。
大潟村でも見事な“あきたこまち”の穂花が咲き乱れ,穂も傾き始めて順調に生育しており、今から黄金色の絨毯の中を軽快に刈り取ってゆくコンバインの姿が目に浮かぶようです。そんな稲刈りを楽しみにし、そして皆様に喜んで食べて頂けるよう頑張っております。いま少しお待ち下さいませ。
夏...夏と言えばスイカにかき氷、とうもろこしに海水浴、山登りに魚釣り、昆虫探しなどなど、子供の時代に遊んだ思い出が蘇ってきます。が、私は夏の強い日差しを手にかざすと毎年必ず思い出す情景、それは新潟での二十歳前の若かりし頃の思い出なのです。
「長井さ〜ん、畑から獲ってきたトマト食べてみて!」八月初め、暑い時間帯も過ぎた頃、田んぼで穂肥えを散布している私に、両手でいっぱいにトマトを抱き抱え、そして冷たい麦茶も私に差し出してくれる笑顔に、私は再び元気を貰うのでした。「よっ御両人、若い連中はいいなぁ...」そんな野次にも、照らす太陽の陽射しにも負けないくらい二人の喉を潤す甘酸っぱいトマト、そしてちょぴり塩味の効いた冷たい麦茶の味は、今でも鮮明に記憶しています。
現在完熟トマトが一般に栽培されていますが、二十年程前「桃太郎」と言う品種で命名される二年前から、私共も試験的に栽培販売し、その後市場性有望と判断されて急速に広まった事は周知の事と思います。肉厚で甘みがあり、誰からも嗜好されるトマト。そして今もトマトに情熱と愛情を注ぎ、年間の殆どをトマトに捧げている、あの笑顔の彼女からは、まだ雪が溶けさまぬ春先になると、我が家に瑞々しい香りと故郷の便りを包み、我が家に届けてくれるのです。そして、その季節外れの香りを女房と二人味わうのが慣例となってしまった...と言う何とも皮肉な定めは、あの ちょっぴり甘酸っぱいトマトの味と、どこかしら似ている?
我が家でも田植えが終わりますと、ささやかなハウスで無農薬栽培のキュウリやナスは勿論、一番多く作っているのがトマト。見上げる入道雲そして残暑の折り、稲刈りの最中でも麦茶と頬張るトマトは欠かせません。また、一時の故郷を思い起こしてくれる赤いトマト、昔好んで食べ満足げな顔をしていた今は亡き父を思い出し、感謝のお参りに、そして墓前に真っ赤に熟したトマトをお供えしたいと、故郷の新潟帰省を指折り待っている次第であります。
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